【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「そんなまさか。分別のない透さんに、ほとほとあきれかえってるだけ」

私は大地の頬をつねった。

「素直じゃないわね、あんたも」
「そんなことないよ」
「そんなことあるの!
……別に父さん、トオルくんのこと悪く思ってるような素振り、してなかったでしょ?」

のぞきこんで尋ねると、「うん」という短い肯定の言葉が返ってきた。
しぶしぶといった感じで、大地は続ける。

「それどころか、
『今度は是非、泊まりがけで来て欲しい』
って、言ってた。……なんか、複雑だよ」
「そ? 大好きなお兄ちゃんが、父さんに気に入られたのに?」
「……だって、僕より透さんを気に入って、ぜひ、まいさんのお婿さんに欲しいとか言われたら、僕の立場ないじゃないか」

ムスッとした顔で言う大地に、私は噴きだした。

「バカねー、そんなこと、あるわけないじゃない。
……私と一緒で嬉しいのよ、気ぃ遣いの大地にも、ちゃんと気が置けない相手がいたんだって解って」
「それは……そうなんだろうけど……」

()ねたような口調の大地が可愛いくて、いたずらっぽく笑ってやった。

「ね、トオルくんの言う通り、ホントにデキ婚しちゃおっか?」
「───駄目だよ、まいさん。物事には順序ってものがあるんだから。
お父さんの立場や、まいさんの立場…世間体ってものがあるし」
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