【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
上着を羽織る僕の耳に、ふたたびメッセージを知らせる通知音が届いた。
ベッドの上に置いたままのスマホに手を伸ばす。
『ううん、いまは二次会で駅前のカラオケボックス』
…………二次会って。
いつもは断ってるのに、なんでまた。
少しだけ不愉快になりつつも、明日も仕事で早いお父さんに事情を話したあと、僕はタクシーを呼んだ。
****
カラオケボックス付近の路上でタクシーを待たせ、足早に店へ向かう。
周囲の店は灯りが消えているだけに、やけにまぶしい店の入り口に、一組の男女の姿が見えた。
女性はセミロングの黒髪でストレートヘア───まいさんだ。
夜眼だとしても、僕がまいさんを見間違えるはずがない。
「───大丈夫ですか、佐木さん」
まいさんの腰に慣れ慣れしく回された手に、男の下心が見え、僕の胸に焼け付くような熱い痛みが走る。
大切な宝物を汚されたような、屈辱的な気分。
そして、その宝が本来納まるべき場所にあるように見えてしまった自分の卑屈さ。
それらが、僕の胸を焦がした。
「うー……ごめん、藤堂くん。せっかくの歓迎会なのにね……」
「いえ、俺は別に……───」
言いかけた男が僕の存在に気づいたようで、言葉を止める。
眼鏡の奥のつり上がりぎみの目が、意味ありげに細まった。
「君は、佐木さんの───」
「まいさん、帰ろう」
ベッドの上に置いたままのスマホに手を伸ばす。
『ううん、いまは二次会で駅前のカラオケボックス』
…………二次会って。
いつもは断ってるのに、なんでまた。
少しだけ不愉快になりつつも、明日も仕事で早いお父さんに事情を話したあと、僕はタクシーを呼んだ。
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カラオケボックス付近の路上でタクシーを待たせ、足早に店へ向かう。
周囲の店は灯りが消えているだけに、やけにまぶしい店の入り口に、一組の男女の姿が見えた。
女性はセミロングの黒髪でストレートヘア───まいさんだ。
夜眼だとしても、僕がまいさんを見間違えるはずがない。
「───大丈夫ですか、佐木さん」
まいさんの腰に慣れ慣れしく回された手に、男の下心が見え、僕の胸に焼け付くような熱い痛みが走る。
大切な宝物を汚されたような、屈辱的な気分。
そして、その宝が本来納まるべき場所にあるように見えてしまった自分の卑屈さ。
それらが、僕の胸を焦がした。
「うー……ごめん、藤堂くん。せっかくの歓迎会なのにね……」
「いえ、俺は別に……───」
言いかけた男が僕の存在に気づいたようで、言葉を止める。
眼鏡の奥のつり上がりぎみの目が、意味ありげに細まった。
「君は、佐木さんの───」
「まいさん、帰ろう」