【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「……怒ってるじゃん。なら、はっきりそう言いなさいよ」

玄関の扉を閉めたとたん、まいさんが面白くなさそうに、僕に背を向けたまま言ってきた。

───は?

僕のなかで、かろうじて制御していた醜い感情の蓋が、持ち上がる。

気づいたときには、まいさんの腕を乱暴につかんで、無理やりこちらを振り向かせていた。

「僕のっ……僕だけのまいさんが僕以外の男にさわられて、良い気分でいられると思う!?
たとえどんな理由があったとしても、僕は僕以外の男に、まいさんの髪のひとふさでさえ、触れて欲しくないんだよっ!」

言い切った直後、自分がどれだけ愚かな独占欲丸出しの感情を吐き出したのかを、思い知る。

こんなこと……口にだしてしまったら、お(しま)いなのに。
男の嫉妬なんて、醜いだけなのに。

「……なんで、こんなこと……言わせるの……?」

みっともない。
いままでの僕は、もっとうまく自分のなかの《醜い感情》と、付き合ってこれたはずだ。

なのに───。

心の整理が、うまくつかない。
まいさんが悪いわけじゃない。
僕の一方的な独占欲を押しつけてまいさんを従わせようだなんて、間違ってる。

そのくせ、僕をこんな風に悩ませているまいさんを、責め立てたい気持ちがわいてきて……感情の収拾がつかない。
なんで、こんな……───。
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