【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「ね、久しぶりに会ったんでしょ? 訊きたいことはちゃんと訊いて、ついでに言いたいことも、ちゃんと言ってきたら?」

早くも見えなくなったトオルくんの姿に、急かすように大地をうながす。

一瞬ためらってから、大地は勢いよく立ち上がり、トオルくんを追い、駆けだした。


*****


大地は約20分後にテーブルに戻って来た。
「待たせてごめんね」と言った大地の顔が、照れくさそうに微笑む。

「───……帰ろうか、まいさん」

駐車場へ向かう暗い夜道のなか、大地は言葉を探すように夜空を見上げ、白い息を吐いて、うつむいた。

外れかけた碧色のマフラーをかけ直した大地の右手に、そっと手を伸ばす。
冷たい指先に指先を絡めると、大地は一瞬驚いてみせ、それから笑った。

「あのね、まいさん。
透さんが言ってたこと……全部、本当なんだ」
「……そう」
「その……やっぱり、正直引いた……よね?」
「───引くわよね、普通」

つないだ指先をほどいて、私はいたずらっぽく笑ってみせた。
改めて、大地の腕に身を預けるようにして、寄り添った。

「でも、私はトオルくんに言わせると、普通じゃないみたいだし? それに……」

言いながら、大地を見上げて微笑んだ。

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