【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
───柄の悪い……どう見ても半グレ風情のトオルくんが、実はお坊ちゃんだったという事実を知り、私は絶句した。

トオルくん、素材は悪くないんだから、もうちょっとどうにか───……なんないか、やっぱり。

大地とのやり取りを思いだす限り、彼が自分を曲げるタイプでないことは、明らかだ。

ベッドの上で身動(みじろ)ぎ、私は大地に向き直った。

「でも、まぁ……大地にとっては大事な『お兄ちゃん』だもんねぇ……」

私のつぶやきに、大地はちょっと笑い、その腕に私を抱き寄せた。

「僕が大事なのは、まいさんとお父さんだけだよ? 透さんは、僕にとっては『世話のやける兄貴』」
「……そういうことに、しといてあげる」

めずらしく素直じゃない大地の片頬に手を伸ばして、大地の瞳をのぞきこむ。
トオルくんによって、幾つもの顔を見せた大地が、思い返された。
……いつも笑っているばかりの大地が見せた、様々な表情を。

「……でも私は、トオルくんに感謝してるわよ? 本当に。
彼がいてくれたから、今の大地がいるんだって、思えるから」

私を見つめ返す大地の頬が、わずかにゆがんだ。
泣きたいくらい嬉しいのに、素直に喜べない……そんな風な笑みに、見えた。
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