【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
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記憶をなくした大地が、家に戻ってから、三日目の晩のことだった。
「すみません。お姉さんにまで、ご迷惑をおかけして……」
利き手である右手が使えない大地のために、食事は私が、入浴は父さんが、手伝っていた。
「───あのさ。その、お姉さんっていうの、やめてくれる?」
自分で思っていた以上に、その口調は刺刺しいものとなった。
幾度となく繰り返された「すみません」と、まるで自分でない《誰かの姉》に対してのような「お姉さん」という呼びかけ。
ついに私は、我慢しきれなくなってしまったのだ。
大地は、無表情に私を見返した。何かを言いかけて、口をつぐむ。
その様に、気まずい思いで言い直した。
「……あんたの身体が不自由なうちは、家族である私達があんたの助けになるのは当たり前なんだし……気にしないでよ。
あと……前はあんた、私のコト『まいさん』って、名前で呼んでくれてたから……それが自然な感じがするの。だから、そう呼ばれる方が、しっくりくるっていうか」
「───そうですね。
僕があなたを『お姉さん』と呼びかけるのは……あなたにとっては、不愉快ですよね」
静かな口調で、大地が私の言葉をさえぎった。感情のない瞳が、じっと私を見据えた。
「僕は……あなたと、あなたのお母さんから、大事な人を掠めた女の、子供ですからね」
冷ややかに告げられた、偽りの事実。
私は思わず息をのんだ。
記憶をなくした大地が、家に戻ってから、三日目の晩のことだった。
「すみません。お姉さんにまで、ご迷惑をおかけして……」
利き手である右手が使えない大地のために、食事は私が、入浴は父さんが、手伝っていた。
「───あのさ。その、お姉さんっていうの、やめてくれる?」
自分で思っていた以上に、その口調は刺刺しいものとなった。
幾度となく繰り返された「すみません」と、まるで自分でない《誰かの姉》に対してのような「お姉さん」という呼びかけ。
ついに私は、我慢しきれなくなってしまったのだ。
大地は、無表情に私を見返した。何かを言いかけて、口をつぐむ。
その様に、気まずい思いで言い直した。
「……あんたの身体が不自由なうちは、家族である私達があんたの助けになるのは当たり前なんだし……気にしないでよ。
あと……前はあんた、私のコト『まいさん』って、名前で呼んでくれてたから……それが自然な感じがするの。だから、そう呼ばれる方が、しっくりくるっていうか」
「───そうですね。
僕があなたを『お姉さん』と呼びかけるのは……あなたにとっては、不愉快ですよね」
静かな口調で、大地が私の言葉をさえぎった。感情のない瞳が、じっと私を見据えた。
「僕は……あなたと、あなたのお母さんから、大事な人を掠めた女の、子供ですからね」
冷ややかに告げられた、偽りの事実。
私は思わず息をのんだ。