【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
───そのうえ、いま、あいつの感情は不在ときてるんじゃ、なおさら理解できねぇと思うぜ?
記憶はなくても一般常識があれば近親相姦っつうのは、タブーだってのがフツーの感覚だろうし」
トオルくんの漏らした一言に、大地から母親とのことを聞かされ時のことを思いだす───あの時に感じた、嫌悪の正体を。
単純に「気持ち悪い」と表現してしまえば、それまでだけど……。
いま思い返しても、そこに至る感覚的なものは、一本道ではなかった気がする。
一般論からくる近親相姦への不快感。
母親という絶対的な存在による性的虐待に対する、憤り。
そして、独占欲がもたらした、嫉妬。
様様な感情が絡み合っていたのに、表向き一番体のいい「憤り」を、私は口にだしたに過ぎないのかもしれない……。
「───相手の気持ちを考えろってよく言われるけど、想像したって解んねーことのが多いわけよ、オレなんか」
押し黙ってしまった私に、トオルくんが唐突に言った。
「けどさ、あいつ……大地は、そういう意味じゃ、人の気持ちを《読む》のが上手かったんだよなー。だから、気遣いってのが、自然にできてた。
佐木さん、あいつの部屋の本棚見たことある?」
いきなりの話題転換に、驚きながらも軽くうなずく。
「ああ、うん。引っ越しの時に、チラッと……。先生にもらった本だって、大地が教えてくれたけど」
記憶はなくても一般常識があれば近親相姦っつうのは、タブーだってのがフツーの感覚だろうし」
トオルくんの漏らした一言に、大地から母親とのことを聞かされ時のことを思いだす───あの時に感じた、嫌悪の正体を。
単純に「気持ち悪い」と表現してしまえば、それまでだけど……。
いま思い返しても、そこに至る感覚的なものは、一本道ではなかった気がする。
一般論からくる近親相姦への不快感。
母親という絶対的な存在による性的虐待に対する、憤り。
そして、独占欲がもたらした、嫉妬。
様様な感情が絡み合っていたのに、表向き一番体のいい「憤り」を、私は口にだしたに過ぎないのかもしれない……。
「───相手の気持ちを考えろってよく言われるけど、想像したって解んねーことのが多いわけよ、オレなんか」
押し黙ってしまった私に、トオルくんが唐突に言った。
「けどさ、あいつ……大地は、そういう意味じゃ、人の気持ちを《読む》のが上手かったんだよなー。だから、気遣いってのが、自然にできてた。
佐木さん、あいつの部屋の本棚見たことある?」
いきなりの話題転換に、驚きながらも軽くうなずく。
「ああ、うん。引っ越しの時に、チラッと……。先生にもらった本だって、大地が教えてくれたけど」