【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
物販店は、全店20時に閉店していた。
センター内で20時以降も開いているのは、映画館・飲食店・ゲームセンターだけだ。
店内の照明を消し、戸締まりをしたあと、ソムリエエプロンのポケットからスマホを取り出す。
私を待つために、そのいずれかで時間をつぶしているだろう大地に、メールをするために。
───だけど。
アプリを開いて、大地のアイコンを見たら……急に指が動かなくなってしまった。
私はスマホをしまい、そのままロッカールームに向かった。
*****
「───まいさん!」
後ろから声をかけられて、ビクッとして足を止めた。
近づいてくる足音と気配に、ふたたび足早に歩きだす。
「待ってよ、まいさん」
すぐに追いつかれて、大地に肩をつかまれた。振り向かずに、私は言った。
「……ごめん、メールしないで」
「うん。いつもだったら、連絡あってもおかしくない時間なのに……変だなと思って。
……来て、良かった。こんな遅い時間に、まいさん一人で、夜道を歩かせるわけにはいかないし」
私をのぞきこむ大地の眼差しは、いつもと変わらずに優しい。
でも、その優しさが、恐かった。
───父さんから心変わりを指摘されても、きっぱりと否定した大地。
クラスメイトに私のことを、婚約者だと紹介した大地。
そんな風に、微塵もためらわずに言えるのは、大地がまだ、《外の世界》を知らないからだと思った。
センター内で20時以降も開いているのは、映画館・飲食店・ゲームセンターだけだ。
店内の照明を消し、戸締まりをしたあと、ソムリエエプロンのポケットからスマホを取り出す。
私を待つために、そのいずれかで時間をつぶしているだろう大地に、メールをするために。
───だけど。
アプリを開いて、大地のアイコンを見たら……急に指が動かなくなってしまった。
私はスマホをしまい、そのままロッカールームに向かった。
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「───まいさん!」
後ろから声をかけられて、ビクッとして足を止めた。
近づいてくる足音と気配に、ふたたび足早に歩きだす。
「待ってよ、まいさん」
すぐに追いつかれて、大地に肩をつかまれた。振り向かずに、私は言った。
「……ごめん、メールしないで」
「うん。いつもだったら、連絡あってもおかしくない時間なのに……変だなと思って。
……来て、良かった。こんな遅い時間に、まいさん一人で、夜道を歩かせるわけにはいかないし」
私をのぞきこむ大地の眼差しは、いつもと変わらずに優しい。
でも、その優しさが、恐かった。
───父さんから心変わりを指摘されても、きっぱりと否定した大地。
クラスメイトに私のことを、婚約者だと紹介した大地。
そんな風に、微塵もためらわずに言えるのは、大地がまだ、《外の世界》を知らないからだと思った。