【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
クリニックの待合室は、簡易な間仕切りのある個室になっていた。

照明はやわらかな明るさに調節され、室内に流れるのは、いわゆるヒーリング系の音楽だった。
……用がなければ、眠ってしまいそうだ。

さっさと受付を済ませた大地はうながされるまま、診察室へ続くだろう廊下へと入って行った。
その背中を見送り、受付カウンターに近寄る。

「あの。私、いま受付を済ませた者の家族なんですが
診療のことで医師(せんせい)にお訊きしたいので、お時間もらえないでしょうか?」
「……ご家族、ですか?」

二十代半ばくらいの薄化粧の女性が、いぶかしげに私を見上げる。

「今は診療中ですから……終わったら、お伝えいたしますので、お待ちいただけますでしょうか」

しぶしぶというのが分かる口調だった。
……私のかけた電話にでたのは、間違いなくこの女性だろう。

「はい。よろしくお願いします」

丁重に頭を下げてから、待合室の個室のひとつに入り、ソファーに腰かけた。
この間の診療時間が一時間くらいだったから、今日もおそらく同じくらいだろう。

───そう思って待っていた私に、予期せぬことが起きた。

「進藤さんのお付き添いの方、ちょっとよろしいですか?」

受付のほうでひそひそとした話し声が聞こえたかと思うと、ややして、淡いブルーの制服を着たふくよかな中年女性が、声をかけてきたのだ。

嫌な予感がして、思わず口を開く。

「大地に、何かあったんですか?」
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