【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
榊原医師から告げられた言葉を思いだし、溜息をついた。
……確かに、すぐに答えのでる問題じゃなかった。
「───……寄って欲しいんだけど?」
いきなり、強い口調で大地に言われた。驚いて、大地を見返す。
「え? 何?」
「本屋っ。寄ってくれって言ってんの! 二度も言わすなよ」
ムッとしたように口をへの字に曲げた大地を見て、ごめんと謝りながら、私は別のことを考えていた。
以前の大地とは比べものにならないくらい、いまの大地は尊大で……私に対して遠慮がない。
確かに記憶をなくす前の大地も遠慮はなかったけど……配慮まで欠けてはいなかった。
いつでも私に対して、敬意のようなものを払ってくれていた。
それは、おそらく目上の人間に対しての、絶対的な礼節というもので、相手のプライドを尊重するという……大地の年齢からすれば、相当な老成を感じさせる「気遣い」だった。
そんな大地だから、私は、
『もっと甘えた方がいい』
と、
『子供なのだから』
と、たしなめたりしたのだ。
なのに、そんな大人びた仮面を脱ぎ捨てた現在の大地を、いざ目の前にしたとたん、
『こんなのは大地じゃない』
だの、
『記憶と一緒に品性までなくしてきた』
だのと、否定してしまったのだ……。
なんて身勝手なことを、私は言ってきたのだろう。
以前の大地にも、いまの大地にも。
……確かに、すぐに答えのでる問題じゃなかった。
「───……寄って欲しいんだけど?」
いきなり、強い口調で大地に言われた。驚いて、大地を見返す。
「え? 何?」
「本屋っ。寄ってくれって言ってんの! 二度も言わすなよ」
ムッとしたように口をへの字に曲げた大地を見て、ごめんと謝りながら、私は別のことを考えていた。
以前の大地とは比べものにならないくらい、いまの大地は尊大で……私に対して遠慮がない。
確かに記憶をなくす前の大地も遠慮はなかったけど……配慮まで欠けてはいなかった。
いつでも私に対して、敬意のようなものを払ってくれていた。
それは、おそらく目上の人間に対しての、絶対的な礼節というもので、相手のプライドを尊重するという……大地の年齢からすれば、相当な老成を感じさせる「気遣い」だった。
そんな大地だから、私は、
『もっと甘えた方がいい』
と、
『子供なのだから』
と、たしなめたりしたのだ。
なのに、そんな大人びた仮面を脱ぎ捨てた現在の大地を、いざ目の前にしたとたん、
『こんなのは大地じゃない』
だの、
『記憶と一緒に品性までなくしてきた』
だのと、否定してしまったのだ……。
なんて身勝手なことを、私は言ってきたのだろう。
以前の大地にも、いまの大地にも。