【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
───こんな私に、大地にとっての良い方法を考える資格なんてあるんだろうか……?

答えの見つからないまま、私はふたたび、大きな溜息をついた。

……隣で大地が耳障りだと言わんばかりに、カーステレオのボリュームをあげた。


*****


「えっと、三十分後でいい?」

市内にある新古書店の駐車場に降り立って、大地の背中に問いかけた。

相変わらずまともに返事を返す気はないらしく、大地は一瞬だけ私を振り返ると、うなずくこともなく店のなかへと消えた。

店内は平日の昼間とあってか年齢不詳職業不詳の男性客が多く、あとは私より少し若いくらいの女性客が、ちらほらといるくらいだった。

特に買いたい物のない私は、会計カウンターに近い中古CDの棚を、なんとはなしに見ていた。

そのうちに、大地に告げた時間が経過し、レジの方角を気にしながらCDコーナーを回っていたのだけど……大地がやって来る気配は、なかった。

……アイツめ、もっと時間が必要なら、そう言えってのよ。
そうすれば、この先にあるスーパーで、夕飯の買いだし済ませておけたのに。

心のなかで毒づきながら、大地を探して、店内を歩きだす。

以前の大地なら、海外文学か日本のSF文学のコーナーにいることが多かったのだけど……。
いまの大地の趣味は違うようで、見当違いのアダルトコーナーの棚を見上げていた。
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