【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
私が言いかけた時、後ろで大地が静かに言った。

強請(ゆすり)なら、他でやれよ」
「はぁ? 何カッコつけちゃってんの? 援交野郎がエラっそーに上から目線かよ。マジむかつくんですけど?」

ふいに、背後で風が通った気配がした───直後、男が棚に、背中を打ちつけていた。
大地の足が、男の横っ腹を蹴ったのだと理解するのに、数秒かかった。

「ちょっと、大地! あんた何して……───」

ドサドサと書棚から本が落ちたのと、大地に二の腕を引かれたのが、同時だった。
何事かと、店内にいた人間の視線が、集まる。

「……っ、にすんだ、てめえっ……!」

顔をしかめ、うめく男をちらとも見ずに、大地は私を引きずるようにして店の外へと向かった。


*****


車に乗りこんで数分後、大地の様子が変だと気づき、あわてて通りかかった駐車スペースの広いコンビニで車を停めた。

「大地? 気分悪いの? ここでトイレ借りていく?」
「……触んなっ……!!」

瞬時に払われた手の行き場にとまどいながらも、もう一度、大地の肩に手を伸ばした。

「じゃ、外の空気でも吸って───」
「気持ち悪いんだよ、あんたにさわられるとっ……!」

助手席で半身を伏せ、肩を震わせた大地の口から、悲鳴のような拒絶の言葉が漏れた。
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