【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
けれども、声から伝わってくる悲痛な響きの方が、大地の心を表しているようで……。
私は逆に、大地を包みこむように抱きしめた。

「───ごめんね、大地」

私を振りほどこうとして、腕のなかでもがいていた大地の動きが、止まる。

「あんたが嫌でも……私には、こうやって抱きしめてあげる以外、あんたにしてあげられること、思いつかないの。
あんたはどこまで私とのこと、思いだせたの? 私があんたのことを好きで……あんたも、私のこと───」
「おれじゃない!」

言うなり、かなり乱暴な力強さで突き飛ばされる。私の頬を、大地の爪の先が、かすめていった。

「あんたが好きなのは、おれじゃない。おれの中で眠ってる、《こいつ》だ」

自分の胸に拳を叩きつけて、大地が言う。

「《こいつ》の母親も、《こいつ》じゃなくて、自分が好きな男を《こいつ》の中に見て《こいつ》にセックスを強要したんだ。
あんたも《こいつ》の母親も、結局、マスターベーションの道具として《こいつ》を利用していただけだろ!?
それを『良い子』だとか『好き』だとか……《こいつ》が喜びそうな言葉でごまかして、隷属させてただけじゃないか!」

───殴りつけるような言葉の羅列は、これで二度目だ。
それでも私の心が慣れることはなく、身体が自然、震えた。
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