【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
トオルくんは私の言葉に、ふっと真顔になった。
バイクのスタンドを立て、ヘルメットを置く。

「あいつに……大地に、会わせてもらっていいかな? 今日はそのために、ここに来たんだ」


*****


トオルくんが来たことを、自分の部屋にいた大地に告げると、意外なほどにすぐさま大地はリビングへやって来た。

そんな大地を、トオルくんは、ソファーに踏ん反り返った状態で見上げた。

「よぉ、大地。……電話もメールも、無視ってくれてアリガトな」

開口一番のトオルくんの揶揄(やゆ)に、大地はまだ気分がよくないと見え、青い顔のままソファーに座った。

「……おれは、あんたが知ってる『大地』じゃないし、あんたも別に、おれに用があるわけじゃないだろ?」
「へぇ? それがオレの誠意を無視して、なおかつ」

言いながらトオルくんは勢いよく身を起こすと、真向かいに腰かけた大地の胸ぐらをつかんだ。
至近距離で、(すご)むように大地をにらむ。

「好きな女にドSに振る舞ってる理由かよ? つっまんねー男に成り下がったもんだな、おい。
おんなじ『困ったちゃん』ならストーカーのが、まだ可愛いげがあったのによ」

大地はムッとしたようにトオルくんを見返した。
トオルくんの手を払いのけようと右手を上げかけて、顔をゆがめた直後、その手を下ろした。
苛立(いらだ)ちを隠せないように、吐き捨てる。
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