【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「佐木さんって、変なとこスキ見せるなぁ……。
男に手料理振る舞うのは、誤解の元だろ? メシ食うついでに佐木さんも喰っとくか~とか、オレが思ったらどうすんの?
言っとくけど、いまの大地じゃ佐木さんが襲われてたって、助けてくれねーよ?」

ひょいと肩をすくめ、トオルくんは心にもなさそうな苦言を呈し帰って行った。

トオルくんを誘ったのは、私のなかのモヤモヤを解消してくれたお礼の意味と。
大地と二人だけの食事が、気詰まりに思えたからなんだけど。

……イヤだな、私。
大地と一緒にいることを、気詰まりに感じてしまうなんて。

夕食の支度を整えて、そんな気分を振り払うように、大地の部屋をノックした。
努めて明るく、何事もなかったかのように、声をかける。

「大地~? 夕飯用意できたわよ。早く来なさいね?」

返事は、なかった。

以前、こんな風にノックをして、大地が答えてくれない時があったのを思いだした───お母さんとの間にあった事を、話してくれた時を。

急に嫌な胸騒ぎがした。

「大地? ……入るわよ」

いまの大地なら、怒るかもしれない。
そう思いながらも、意を決してドアノブを回した。

鍵はかかってなかった。怒声も、かからなかった。だけど───。

「ちょっと、大地!? 大丈夫?」
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