【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

2.僕の熱を、全部奪い去って?

「あんた、なんなのよ? いきなり『でてきて』……なに、言ってんの……?」

ずっと聞きたかった呼びかけがなんの前触れもなく耳に届いたせいで、私の頬を、冷たい雫が伝った。

───嬉しくて、泣くなんて、思わなかった。

いま、目の前に、ずっと会いたかった『大地』がいてくれる。
いつかのように、例え夢だとしても……嬉しかった。

直後に私の頬をなぞった大地の吐息は、息遣いで私を慰めているかのように、優しかった。

大地の唇が、静かに私の唇に押しつけられる。
おもむろに離れた唇から、笑い声がこぼれ落ちた。

「……あはは、ホントに……今日は、まいさんが冷たく感じるな……」
「───熱があるのよ、あんた」
「熱? そう、なの? 僕……風邪ひいたのかな……? そういえば、(のど)も変な感じがする……」

首を傾げて暢気(のんき)なつぶやきをもらす大地の胸を、ボカスカと殴ってやりたい気分だった。
けれども、相手は病人なんだと思い直し、両肩をつかんだ。

「とにかく、布団の中に入って。いま、お(かゆ)つくってあげるから」
「───まいさんも……一緒に入ってくれるなら、いいよ……」

声をだすのもつらそうなのに。
どこにそんな力があるのか、大地は、さきほどの予告通りに、私をベッドに押し倒した。
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