【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「───なぁ舞美。それが『普通』の……あのくらいの年齢にふさわしい、『子供』の態度なんじゃないのか?」

穏やかな問いかけに、はっとして口をつぐむ。
それは……以前、私が大地に言ったことを、思いださせた。

年齢に見合わない、大人びた気遣いはやめるようにと。
もっと甘えていいのだから、と……。

思わず、ギュッと目をつぶった───。

どうして……!

初対面の私に『宇宙人』だと思わせた大地の気遣いを感謝して、抱きしめて、ねぎらってやろうと考えていた。

───以前の大地が戻ってきたら。記憶を取り戻したら。
だけど、それをなぜ……いま、あのワガママで人を思いやることをしない人間不信の塊のような大地に、してあげられなかったのだろう。

何度も思ってきたはずなのに……『いまの大地』も、『大地』なんだって……。
頭で解っているつもりになっていただけだった。
私は……何ひとつ、本当の意味では解っていなかったのだ……。

「───ありがとう、父さん。気づかせてくれて」

唐突なお礼に、父さんは一瞬、困惑したようだった。
けれどもすぐに、小さくうなずき返してくれた。

「……そうだな。お前は……大地くんの次に、つらい思いをしているからな。
たまにはそうやって、胸の内を吐きだしてもらったほうが、父さんも安心するよ」

空のカップ麺の容器を片付けるため立ち上がった父さんの手が、私の頭にポンと置かれた。
温かくて優しい……慰めだった。



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