【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
でも───。
『大地』は、まだ完全に『大地』に戻ったとは言えなかった。

二つの人格の融合……それが成されてこそ、初めて《大地が帰ってきたこと》になる気がしたから……。

シャワーのコックをひねって、溜息をついた。
投げかけられた大地の言葉が頭をよぎって、もう一度、深い息を吐く。

これまでとは明らかに違う真っすぐな眼差しは、私を惑わすには充分で……だからこそ、迷ってしまう自分がいた。

「……いまさら迷って、どうするのよ。大地は大地だって言ったのは、私じゃん。自分の言葉に、責任もてっての……!」

浴室に独りごとを響かせ自身を(しか)りつけ、私は、大地の部屋に行くことを決めたのだった。



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