【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

3.おれだけを見て、感じてよ

*****


「………………本当に、来たんだ」

あきれたように言う大地に、ムッと眉を寄せた。

「何よ。私のこと、からかったとでも言うの?」

ベッドに寝転んで本を読んでいたらしい大地を、部屋の入り口でにらんだ。

……昼間からずっと悩みまくっていた自分が、バカみたいだ。

いままでの大地と違う風に見えて、だからこそ真剣に、自分が《望まれている》気がしたのに。

大地は、大地。
だけど、私に対する態度も言葉遣いも、全然違っていて。
いまの大地と夜を過ごすっていうのは……なんだか、前の大地に対する『裏切り』のように思えていたから。

それなのに───。

「私とする気がないなら、いいわよ。お邪魔さま。
明日は早く起きて、父さん見送ってあげてね?」

早口で言いきって部屋をあとにしようとした私の耳に、盛大な溜息が聞こえた。

「……大人げないな、あんたって。じゃあ言い方を変えてやるよ。
───来てくれるとは思わなかったから、嬉しいよ、舞さん」

棒読みで告げられても、ドキッとしてしまう私を察したかのように、大地がのどの奥でくっと笑いながらベッドを降りる。

「───これで、満足?」
「あんたねぇ~」

頬をひきつらせて思いつく限りの文句を言ってやろうとしたのに、いつもと勝手が違い言葉につまった。
手にした本を棚に戻し、大地が私を見る。
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