【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
自分の背にまわされた私の手をつかみ寄せ、意地悪く、笑う。
乱暴に両手が押さえこまれて、私の身体のあらゆる柔らかな部分に歯が立てられた。
そうして大地は、痛みが、痛みだけではないことを、私の身体に思い知らせていく。

「……ひょっとして、いつもより濡れてたりする? 実はMだったんだね、舞さん?」

声が枯れるほど人をあえがせておいて。
にっこりと底意地悪そうに笑う大地が憎らしいのに……愛おしく思えて、不思議だった。

こんな風に、いまの大地を受け入れることができるだなんて。
……身も、心も。

「……大地……好きよ……。だから……キス、して……」

かすれた声で言った私を、大地がとまどったように見返してきた。
その反応に、いたずらっぽく笑ってみせる。

「キスするの、怖い……? ()みつかれそうで……」

私の身体には幾つものくちづけを落としたのに。
いっこうに、私の唇にはやってこない大地の唇の意味を、指摘してやる。

「……遠慮、してるんでしょ……? もう一人の、自分に」

漠然と感じていたこと。
いまの大地は、もう一人の自分を(うらや)み、(ねた)みながら……どこかで『何か』を、譲っているように思えた。

「……あんたは……何を遠慮して……何を、譲っているの……?」

さきほどまでの愉悦に満ちた仮面を脱ぎ捨てるようにして、大地は、押さえこんでいた私の両手を解放した。
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