【完結】君じゃ勃たないと振られたら、俺なら勃つと突然に。
お正月。
雪の降る、寒い朝だ。
息が白くなる。
背の高い青年が、一人紙袋を持ってアパートのチャイムを押した。
しかし返事がない。
「黃美子ねーちゃん、着いたぞ」
女性が一人暮らしするには、セキュリティが不安なアパート。
もう一度チャイムを押して外から声をかける。
「開いてるよ~」
「おい……危ないな」
呆れて部屋のドアを開けると、玄関の薄いのれんからコタツに入っている女性が見えた。
「わーい、あけおめ~蒼紫(あおし)~」
「鍵をかけろよ。あけましておめでと! ほら、おせち」
「わーい、嬉しい!」
< 1 / 16 >