【完結】君じゃ勃たないと振られたら、俺なら勃つと突然に。

「……やーなの……あ! 黒豆おいしそーー! おばさんの黒豆大好き~栗きんとんに伊達巻! やったぁ」

 小皿や割り箸もおせちの袋に入っている。
 母は姪っ子に甘すぎる……と蒼紫は思う。
 黃美子はコタツから出ることもなく、おせちをつつきはじめた。

「なんで、いやなんだよ? 兄貴はどっか出かけたけどさ、一緒に行かなかったんだな」

 黒豆を食べていた黃美子が、ダバダバと日本酒をコップに注ぐ。

「おい、いくらなんでも飲み過ぎだろ……」

「いいの! コップもってきなよ。蒼紫も飲もう」

「俺、予定が……」

「なに、彼女? じゃあもう帰っていいよ」

「いねーよ。初売り行くかって思ってただけ」

「なんの初売り?」

「ブックオンフでゲーム」

「そんなン、明日でいいじゃん」

「いくないけど……まぁいいか」

 蒼紫はまたコタツから出て、コップや調味料も一緒に取ってくる。

「刺し身もあるから、食おうぜ」

「やった~。おばさま優しい~~!」
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