【完結】君じゃ勃たないと振られたら、俺なら勃つと突然に。
「ねぇ、だからなんで別行動してんの? 兄貴と。……彼氏だろ」
「……だからさ~察しなよ」
ガブガブと止める隙もなく、黃美子は日本酒を飲んだ。
「なに? はっきり言えよ」
「だから振られたの! 鈍感バカ! わかるじゃん! 普通!」
「……はぁ?」
蒼紫の兄、桃樹。28歳。
蒼紫は20歳になったばかり。
黃美子は新人社員の23歳。
桃樹は親戚の間でも『鳶が鷹を生んだ!』と言われる天才肌でエリート会社員。
実家暮らしをしているのは、猫のため。
容姿端麗、頭脳明晰、みんなが憧れるイケメンスパダリ。
黃美子は5歳上の従兄弟に、ずっと恋をしていた。
「やっと付き合えたのに……なんで?」
黃美子が此処に居続けたのも、これが理由だ。
桃樹の傍にいたいから。
そして昨年の秋に、二人は付き合い始めた……はずだ。
「……知らないよ……」
「だって、納得できねーだろ」
「はは……そうだよね。いっぱい相談のってくれたもんね……」
「理由は? って聞いてんの」