期待、するから
「好きだ」
ぴたりと、ノートの上を走っていたペンが止まった。
視線を上げれば、こちらを真っ直ぐに見つめる蓮の姿。
その真剣な目に一瞬だけドキっとして、その奥に見えた捲られたばかりのカレンダーが、急激に思考を冷やしていく。
4月1日。エイプリルフール。
つくならもっと可愛い嘘をつきなさいよ、と。
わずかでも期待した自分と、タチの悪い冗談を吐く蓮に苛立ちながら、そう言おうとした。
……けど。
「私も」
どうせなら、もっと後悔させてやる。
そう思ったのは、私だけが本当に好きだというこの状況が悔しかったからだ。
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