伝えられない思い、伝えたい気持ち。
 HRの時間になり、松田先生と梶先生が入ってきた。

 梶先生は、さり気なく私の席の近くに座って小声で話かけてきた。

 「さっき途中で、千鶴ちゃん居なくなっちゃったから、どこ行ったのかと思ったよ。今井さんに色々聞かれて、疲れちゃったよ。」

 「…ちょっと用事を思い出して。」

 私は、先生と目を合わすことが出来ず嘘もついた。

 「そっか…。」

 先生は少し寂しそうな顔をしていた気がしたが、その時の私には先生と笑顔で話せるほど心に余裕はなかった。

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