求婚書を返却してすみません!
第4話 反撃の質問タイム!
「それでは、私のどこを好きになったんですか?」
私は手始めにオーソドックスであり、いじわるな質問をした。だけどこれは、私にとっては重要な質問。なにせ二人の馴れ初めを知らないのだから。
二人にしか分からない、とても大切な話。私がこれからカティアとして生きていく上でも。これを皮切りに聞き出す作戦だった。
しかし、質問される側は恥ずかしい内容である。案の定、スティグの顔は真っ赤だった。内心、可愛いと思ってしまうほどに。
「なっ。それをここで聞くか?」
「はい。答えられませんか?」
「そんなわけないだろう。……ひ、一目惚れだったんだ」
まぁ! 可愛い。それでそれで? いつ出会ったの? 一目惚れっていうのだから、それなりの年齢かな。
「覚えているか。イーリィ伯爵夫人が開いたお茶会で、初めて会った時のこと。同じ伯爵家で、年齢も同じだからと、仲良くなろうと俺が声をかけたのを」
私は都合よくカティアの記憶を引き継いでいないため、ただ頷くしかなかった。
「その時の笑った顔が、可愛くて……好きになったんだ」
スティグは後半、下を向いてしまった。お陰で私のニヤついた顔がバレずに済んだ。
可愛いのはスティグの方だよ!
キャーキャー騒ぐ胸の内を知られないように、私は次の質問をした。
「何色が好きですか?」
スティグが顔を上げる。予想外の質問に、唖然としている様子だった。
いや、私だって告白はいつ? どれくらいお付き合いしていたんですか? と立て続けに攻めたかったんだよ、勿論。
でも、カティアがそれを聞くのは無理な話である。仮に聞いたとしても、不審がられてしまうのがオチだった。
しかしこの質問もまた、重要なものである。
カティアの好みなどはメイドたちから聞き出したが、スティグの好みを知るのは難しい。当然、カティアは知っていると思う。だったら、私も知っておかなければならない事柄だった。
まぁ、興味本位で聞きたい気持ちもあるけれど。
ちょっと怪しまれたかな。こんなのを知らないのか! って言われないかな。
「紫」
この答えに今度は私が赤面した。スティグは開き直ったのか、平然としている。
もう、どれだけこの男はカティアが好きなの!
カティアは髪だけでなく、瞳も紫色を帯びていた。お母様譲りの赤紫色の瞳。だから、スティグの答えはカティアのすべてを意味している。
「次は何だ。まだまだ平気だぞ」
「……求婚書を送り返されて、どう思いました? 怒ったでしょう」
私は即座に好き嫌いの質問をやめた。どれを聞いても、スティグの答えはカティアに通じている気がしたからだ。
スティグがニヤついているのも、そのためだろう。私が赤面しているのを楽しんでいる様子だった。
ならば趣旨を変えてやる。アラサーお姉さんを舐めるな!
「勿論、怒ったさ。カティアに告白をした時、とびっきり可愛い顔して抱きついてきて、……キスまでしたのに。あれは嘘だったのかって」
「っ! それは、その……すみません」
「婚約して、カティアを狙っている連中を、ようやく排除できると思ったのに。他に男がいるのかと疑ったんだ」
知らなかった。カティアは随分、モテるのね。確かに、一週間前、鏡を見た時、凄い美人さんだと思ったもの。しかもお母様に似て胸は大きいし、スタイルもいい。
スティグが心配するのも納得できた。
「ごめんなさい」
さっきまで息巻いていたのはどこへやら。私は意気消沈してひたすら謝った。
てっきり、自分に魅力がなかったとか、しょぼくれた返答を期待していたのに……。まさかの惚気話。
こんなのを聞かされたら、罪悪感で身が縮んでしまうわ。
私は手始めにオーソドックスであり、いじわるな質問をした。だけどこれは、私にとっては重要な質問。なにせ二人の馴れ初めを知らないのだから。
二人にしか分からない、とても大切な話。私がこれからカティアとして生きていく上でも。これを皮切りに聞き出す作戦だった。
しかし、質問される側は恥ずかしい内容である。案の定、スティグの顔は真っ赤だった。内心、可愛いと思ってしまうほどに。
「なっ。それをここで聞くか?」
「はい。答えられませんか?」
「そんなわけないだろう。……ひ、一目惚れだったんだ」
まぁ! 可愛い。それでそれで? いつ出会ったの? 一目惚れっていうのだから、それなりの年齢かな。
「覚えているか。イーリィ伯爵夫人が開いたお茶会で、初めて会った時のこと。同じ伯爵家で、年齢も同じだからと、仲良くなろうと俺が声をかけたのを」
私は都合よくカティアの記憶を引き継いでいないため、ただ頷くしかなかった。
「その時の笑った顔が、可愛くて……好きになったんだ」
スティグは後半、下を向いてしまった。お陰で私のニヤついた顔がバレずに済んだ。
可愛いのはスティグの方だよ!
キャーキャー騒ぐ胸の内を知られないように、私は次の質問をした。
「何色が好きですか?」
スティグが顔を上げる。予想外の質問に、唖然としている様子だった。
いや、私だって告白はいつ? どれくらいお付き合いしていたんですか? と立て続けに攻めたかったんだよ、勿論。
でも、カティアがそれを聞くのは無理な話である。仮に聞いたとしても、不審がられてしまうのがオチだった。
しかしこの質問もまた、重要なものである。
カティアの好みなどはメイドたちから聞き出したが、スティグの好みを知るのは難しい。当然、カティアは知っていると思う。だったら、私も知っておかなければならない事柄だった。
まぁ、興味本位で聞きたい気持ちもあるけれど。
ちょっと怪しまれたかな。こんなのを知らないのか! って言われないかな。
「紫」
この答えに今度は私が赤面した。スティグは開き直ったのか、平然としている。
もう、どれだけこの男はカティアが好きなの!
カティアは髪だけでなく、瞳も紫色を帯びていた。お母様譲りの赤紫色の瞳。だから、スティグの答えはカティアのすべてを意味している。
「次は何だ。まだまだ平気だぞ」
「……求婚書を送り返されて、どう思いました? 怒ったでしょう」
私は即座に好き嫌いの質問をやめた。どれを聞いても、スティグの答えはカティアに通じている気がしたからだ。
スティグがニヤついているのも、そのためだろう。私が赤面しているのを楽しんでいる様子だった。
ならば趣旨を変えてやる。アラサーお姉さんを舐めるな!
「勿論、怒ったさ。カティアに告白をした時、とびっきり可愛い顔して抱きついてきて、……キスまでしたのに。あれは嘘だったのかって」
「っ! それは、その……すみません」
「婚約して、カティアを狙っている連中を、ようやく排除できると思ったのに。他に男がいるのかと疑ったんだ」
知らなかった。カティアは随分、モテるのね。確かに、一週間前、鏡を見た時、凄い美人さんだと思ったもの。しかもお母様に似て胸は大きいし、スタイルもいい。
スティグが心配するのも納得できた。
「ごめんなさい」
さっきまで息巻いていたのはどこへやら。私は意気消沈してひたすら謝った。
てっきり、自分に魅力がなかったとか、しょぼくれた返答を期待していたのに……。まさかの惚気話。
こんなのを聞かされたら、罪悪感で身が縮んでしまうわ。