四葉に込めた一途な執愛


 やっぱり、陽生先生は素敵だな。
 包み込んでくれるような優しさにキュンとしてしまう。

 聞けば先生は二十八歳なのだそう。
「四葉さんと同い年なんだよ」と言われた時は驚いた。

 私は当然自分の年齢も忘れているので、同い年だなんて言われると不思議な気持ちになる。

 タメ口でもいいんだよ、なんて冗談っぽく言ってくれたけど、何だか恥ずかしくて敬語のままだ。


「あの、先生」

「何?」

「こういうこと、他の患者さんにもされるんですか……?」


 私はもらった押し花を握りしめながら俯く。

 勘違いしてはいけない、陽生先生はみんなに優しい先生だから私だけが特別じゃない。
 ちゃんと自分に言い聞かせたくて尋ねてみた。


「子どもに折り紙をあげたことはあるけど、押し花は初めてかなぁ」

「! そうなんですか?」

「もしかして、こういうの困る……?いらなかったら捨てていいよ」

「違うんです!嬉しかったです……」


 押し花をもらったのは私だけ。
 その事実に胸の奥が熱くなる。


「先生、週一じゃなくてもっと来てもいいですか?」

「え?」

「私、話し相手になってくれるのが両親と先生しかいないから……」


 すると、陽生先生は穏やかに微笑んだ。


「そうだね、誰かと接することは大事なことだ。何か思い出すきっかけになるかもしれないし、診察の回数を増やしてもいいかな」

「――はい」


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