四葉に込めた一途な執愛


* * *


 そこでハッと目が覚めた。
 私は自室のベッドの上にいた。

 何だか不思議な夢を見たらしい。
 だけど、何となく夢ではなかったような気もした。
 誰かがずっと私のことを呼んでくれていたような――。

 まさかね、と思いながら起き上がる。
 私服に着替えて顔を洗って歯を磨き、リビングダイニングに行ったら両親がとびきりの笑顔で迎えてくれた。


「ちなみ、誕生日おめでとう!」

「おめでとう、ちなみ!」

「え?」


 私は思わずポカンとしてしまった。


「今日はちなみの誕生日なのよ」


 知らなかった。自分の誕生日も覚えがなかった私は何だか不思議な気持ちになる。
 どうやら今日で二十八歳になったらしい。


「本当は店を休みにしてゆっくりどこかへ出かけたかったけど、大型の注文が入ってしまってなぁ。ごめんな」

「だから夜はホテルのディナーでお祝いしましょうね」

「あ、ありがとう。大丈夫、私も今日は通院だから」


 誕生日だなんて全く知らなかったから、普通に通院の予定を入れてしまっていた。
 陽生先生の誕生日はいつなのだろうと思いながら、病院へ向かう。


「こんにちは」


 今日も優しい笑顔で出迎えてくれる先生にキュンとする。


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