四葉に込めた一途な執愛


「こんにちは、先生」

「何だか今日はご機嫌だね。良いことあった?」


 私の表情筋は相変わらず思うように動いてくれないが、少しは緩んでくれたのだろうか。


「顔に出てましたか?」

「いや何となくだけど」


 まだダメか、と落ち込むと同時に些細な変化に先生が気づいてくれたことが嬉しかった。


「実は今日誕生日らしくて。両親とディナーに行くんです」

「そうだったね!誕生日おめでとう!」

「ありがとうございます」

「忘れないうちに渡しておくね」


 陽生先生は小さな白い箱を私に差し出した。
 驚いて箱と先生を交互に見つめる。


「えっ、これ」

「誕生日プレゼントだよ」


 まさか先生からお祝いしてもらえると思っていなかったから、何度も瞬きをしてしまった。
 まず私の誕生日を知っていたことが驚きだ。


「ど、どうして?」

「誕生日はカルテを見て知っていたから……ごめん、急に。困らせるだけだよね」


 眉を下げる陽生先生に対して私は強めの否定をする。


「違うんです!まさかいただけると思っていなかったからびっくりして。ありがとうございます!すごく嬉しいです」

「それならよかった」

「空けてみてもいいですか?」

「どうぞ」


 ローズピンクのリボンをシュルリと外し、箱を開けると小さな四葉のクローバーのモチーフが付いたチェーンのブレスレットが入っていた。
 さりげないモチーフが可愛らしい。


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