四葉に込めた一途な執愛
先生の顔が見られなくて、思わず目を逸らしてしまった。
「……あの、そろそろ帰りますね。両親が待ってますから」
「ああ、楽しんで来て」
「ありがとうございました」
私は逃げるように診察室から立ち去った。
両親との約束の時刻まではまだまだある。プレゼントだけもらってとっとと帰るなんて、私は一体何をしに来たのだろう。
でも、あの場にいられないと思った。
あのまま先生と一緒にいたらダメ。
いや、もう私は完全に落ちてしまっている。
必死で自分の気持ちを隠そうとしたけど、もう誤魔化せないみたい。
走って病院から飛び出したから、息が乱れてしまった。
肩で息をしながら、先生にもらったクローバーのブレスレットを見つめる。
「っ、先生……っ」
ぎゅっとブレスレットを握りしめる。
私の心も締め付けられる。
陽だまりのような優しさで包み込んでくれる陽生先生に、どうしようもなく恋をしてしまった。
真っさらなノートに陽生先生の色だけが鮮やかに彩られる。
気づきたくなかった気持ちに気づいてしまった今、もう想いは止められない。
「……こうなるくらいなら、昔のスマホを見てちゃんと自分と向き合うべきだった」