四葉に込めた一途な執愛
知りたくなかった真実
カフェテラスを出たところで、私は突然誰かに声をかけられた。
「あら!?ねぇ、もしかしてちなみちゃん?」
びっくりして振り返ると、人懐こそうなおばさんがニコニコしながら私を見つめていた。
「久しぶりね〜!元気だった!?」
「あ、あの」
「見ない間にすっかり大人の女性になって!ほら、私よ!ちなみちゃんが小さい頃、よくお家に遊びに行かせてもらってたの」
もちろん思い出せないので、ただ戸惑うことしかできない。
だけどおばさんは一方的にペラペラと喋り続ける。
「たまにお花屋さんに行くといつもお母さんと長話しちゃうのよねぇ。あなたの話もよく聞いてるわ。そういえば!未散くんは元気?」
「えっ」
みちる、という名前にドキッとした。
それは陽生先生の名前だから。
「ちなみちゃんと未散くん、本当に仲良しだったわよねぇ」
「み、みちるって、陽生先生のことですか?」
「先生?あーそっか、今は立派なお医者様だものね。そういえば風の噂で聞いたことあったわ。
未散くん、大きな病院の娘さんと結婚するんですってね」
え――?
「実は昔、ちなみちゃんと未散くんは将来結婚するんじゃないかと思ってたんだけど、今は二人とも大人でそれぞれの道があるんだものね。もし未散くんに会ったら、おめでとうって言っておいてね」