四葉に込めた一途な執愛
その後、どうやっておばさんと別れたのかわからなかった。
彼女が誰なのか、私が今記憶喪失であること、何も話せずにいつの間にか別れていた。
「またゆっくりお話しましょう」と言っていたような気がするくらいだ。
だがその言葉になんて返答したのかはわからない。
ただ茫然としながら一人で歩いていた。
情報過多で全く頭が追いつかない。
私と陽生先生は元々知り合いだった?
そして先生は結婚する?
わからない、全くわからない。
一体どういうことなのだろうか。
ただ一つだけ確かなのは、先生には相手がいたということだけ。
実は昔からの知り合いだったとしても、恐らくそれ以上には何もないということ。
考えてみれば、当たり前のことだった。
二十代後半という結婚を考え始める年頃であんなに優しくてイケメンで、更には優秀なドクターで。
あんな人を周りが放っておくはずがない。恋人がいる方が当たり前ではないか。
なのに甘い夢にしがみつこうとしていた自分が馬鹿みたいだ。
とぼとぼと帰宅した私は、虚になりながら自室に戻った。
机の引き出しを開け、ディスプレイが真っ暗なスマホを取り出し、充電器に刺す。
少し待ったところで電源ボタンを長押しした。
ディスプレイにマークが表示され、スマホが立ち上がる。
私は意を決してスマホの中身を見た。