四葉に込めた一途な執愛


* * *


 私と彼、陽生未散は幼馴染だった。
 家が近くて同い年ということもあり、よく一緒に遊んでいた。
 小学校、中学校、高校まで一緒だった。

 未散は成長するごとにカッコよくなり、真面目な優等生で周囲の人望が厚かった。
 医者を目指している秀才で、学生時代から非常にモテていた。

 はっきりといつからかは覚えていないが、私はずっと未散のことが好きだった。
 でも自分とは違いすぎるスペックの持ち主であり、きっと将来有望な医者になるであろう彼と普通な自分との格差を感じ、私は自分の気持ちを打ち明けるつもりはなかった。

 だけど、彼は違った。


「俺はこれからも一生ちなみだけが好きだし、ちなみを誰にも奪われたくない」


 普段の優しく温厚な未散からは想像もつかないような、焦がれる程の熱情を注がれ私は彼の手を取った。
 未散に好きだと囁かれ、抱きしめられる度に幸福感で満たされる。


「あの常連客の男、ちなみに気があるんじゃないの?」
「そんなことない!そんなことあるわけないよ」
「よそ見しないでね。ちなみは俺のものなんだから」


 ただの幼馴染だった頃には知らなかった、意外にも独占欲が強く嫉妬深い一面に何度も溺れさせられた。
 私だけを見て恋焦がれてくれることが、どうしようもなく嬉しい。


「ちなみ、愛してる」
「私も……っ」


 心から未散を愛していた。ずっと一緒にいたいと思っていた。


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