四葉に込めた一途な執愛
* * *
「ちなみ!!目が覚めたのね!」
「ちなみっ!!大丈夫か!?」
「お父さん、お母さん……」
再び目覚めた時、私はまた白いベッドの上にいた。
心配そうに私の顔を覗き込む二人が、間違いなく両親であるとわかる。
「お父さん、お母さん、私……」
「ちなみ、もしかして記憶が?」
私はこくりと頷いた。思わず涙が溢れ出ていた。
「ちなみ……」
「ごめんね……」
思い出した、思い出せた。
私は大好きな両親のことまで忘れていたなんて。
ボロボロと泣く私に対し、お父さんもお母さんも私の手を握りしめて何度も頷いてくれた。
「あのね、お願いがあるの……」
「何?」
「私の記憶が戻ったこと、先生には…未散には言わないで」
「ど、どうして?」
「お願いだから、黙っていて欲しいの」
未散は今私の主治医なのに記憶が戻ったことを黙っていて欲しいなんて、両親は困惑の表情を浮かべていた。
「ちなみ、思い出したのなら未散くんは……」
「言わないで」
彼には知られたくない。
私が記憶を失ったのは、恐らく未散の前からいなくなりたかったからだと思う。
未散のためを思うなら、私は相応しくない。
私は未散の邪魔をしてしまう。
記憶をなくしてももう一度恋をしてしまうくらい、未散のことは大好きだ。
でも、私ではダメなんだ。
私は両親の前で嗚咽を漏らして泣き続けた。