四葉に込めた一途な執愛


 突然告げられた告白に驚きすぎて、言葉が発せなかった。
 戸惑う私を真剣に見つめて、彼は続ける。


「困らせるのはわかってる。でもずっと好きだった。君が記憶をなくす前からずっと」

「……っ」


 やめて、言わないで。


「記憶が戻るまで待つつもりでいたけど、思い出したくないのなら思い出さなくてもいい。
それでも俺が君を――ちなみを愛していることに変わりはないから」

「っ、やめてください!!」


 私は思わず大声をあげてしまった。
 今自分がどんな顔をしているのかわからなくて、絶対鏡は見たくないと思った。


「先生、結婚するんでしょう?」

「え?」

「聞きました、大きな総合病院の院長の娘さんと結婚が決まってるって」

「どうしてそのことを……」

「人から聞いたんです。記憶喪失の私なんかより、その方の方が先生に相応しいと思います」

「ちなみ、もしかして本当は記憶が戻ったんじゃないか?」

「っ、」


 図星を突かれ、思わず目を逸らしてしまう。それを未散は見逃さなかった。
 勢いよく私の両肩を掴む。


「戻ったの!?」

「違う……」

「ちなみ、本当のことを言って」

「違います!!私は、知らない……!」

「ちなみ!!」


 私は病室を勢いよく飛び出した。
 走らないでください、という看護師さんの注意を無視して階段を駆け上がる。


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