四葉に込めた一途な執愛


 * * *


 その後私はきちんとした診察を受け、体にも心にも異常はないと診断された。
 未散はそのまま両親に挨拶してくれて、改めて私と結婚させてくださいと頭を下げてくれた。

 かねてより私たちの交際を知っていた両親は、安堵したように胸を撫で下ろした。


「よかった……ちなみを任せられるのは未散くんしかいないと思っていたから」
「本当にこの一年間ありがとう、未散くん」
「えっ一年?」


 お母さんの言葉に驚いて聞き返す。


「ちなみにはちゃんと話せていなかったけど、あなたは事故に遭って一年間眠り続けていたのよ」

「そうだったの!?」

「何も覚えていなかったから敢えて言わなかったけど、未散くんは本当によく尽くしてくれたの」


 事故に遭って病院に運ばれた私は、すぐに緊急手術を行った。手術は成功したものの、私の意識が戻ることはなかったらしい。


「毎日医者としてちなみについていてくれて、本当に心強かった」

「いえ僕は何も……これほど何もできないことを悔しく思ったことはありませんよ」

「でも、こうしてちなみは元気になってくれた」

「未散くん、本当にありがとう。これからも娘のこと、よろしくお願いします」

「はい、必ず幸せにします」


 力強くそう言い切ってくれたことが嬉しかった。
 両親と未散の姿を見ていたら、胸がいっぱいになってまた目頭が熱くなる。


「本当にありがとう……!」

「ち、ちなみ!」

「え?」

「笑えるようになったのか!」


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