四葉に込めた一途な執愛


 言われて自分の頬に両手を添える。全くの無意識だった。


「私、今笑えてる……?」

「ああ、笑えてる!笑えてるよ」

「そっか、よかった……」

「本当によかった。お母さん、もうちなみの笑顔が見れないんじゃないかと思っていたの」


 お母さんは涙を流して私を抱きしめてくれた。


「よかったね、ちなみ。おめでとう」

「ありがとう……」


 両親がとても祝福してくれたことが嬉しかった。
 その後、私は未散の家族にも挨拶をした。

 未散の家族も私が記憶喪失であることをずっと心配してくれていたらしく、お見舞いに行きたかったけどかえって困らせるだけかもしれないと控えてくれていたらしい。
 結婚の報告を聞いてとても喜んでくれた。

 ちなみに私に話しかけてくれたあのおばさんは、近所に住んでいるよくおやつをくれていたおばさんであると思い出した。
 後から母に私が記憶喪失だったことを聞かされ、かなり驚いていたし謝ってもくれた。


「私ったら余計なことを言ってしまったのね。本当にごめんなさい。ちなみちゃんが無事で本当によかったわ!結婚式は呼んでちょうだいね」


 なんて気の早いことを言っていたので思わず笑ってしまった。
 私はすっかり自然と笑えるようになっていた。


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