淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
同棲しているとはいえ、悠稀はもっと自由でいたかったのかも。

もっと友達と飲みに行ったりしたかったのかな。
それだと、私にも落ち度はある。


「重い? こんな可愛い子に一途に思われるって、俺は羨ましいけど」


突然距離を詰められて、岡林先生の顔がドアップで映る。

や、やばい。やっぱり私、口説かれてない……?


「あ、あの……。私、そろそろ帰ります」


このままだと、雰囲気に流されてしまう……。

そう思って席を立ったものの、両下肢に力が入らない。

嘘……!? 私、想像以上に酔っぱらってる?
普段カクテルなんて飲まないから、慣れていないのかも。


「おい。君、酔ってないか?」
「……だ、大丈夫……です」

「ダメだ、危ない。近くまで送る」


そう言って一旦私を席に座らせると、スマートにお会計を済ませて再び戻って来てくれた。


「行こうか」
「す、すみません……」


本当に最悪だ……。
失恋した勢いで飛び出して、普段飲み慣れていないカクテル2杯でこんなに酔うなんて。情けないにもほどがある。

お店を出てすぐに岡林先生がタクシーを拾ってくれ、一緒に乗り込んだ。


「大丈夫か?」
「……はい…」

「行き先は?」
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