淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
* * *

「……ん」


翌朝。
カーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚ました。

頭の上にあるスマホで時間を確認すると、まだ5時を過ぎたところ。

出勤まで、まだ少し時間がある。
二度寝、出来るよね。

そう思い、再び布団に潜り込もうとしたとき。


「えっ……?」


自分の横に、見知らぬ男性が眠っている。
しかも、お互いに全裸だ。

ま、待って?
もしかして私、昨日酔った勢いで……?

ダメだ。全然思い出せない。

突然の出来事に慌てていると、隣で寝ている男性がモゾモゾと動き始めた。


「ん、おはよう」

「……あっ、あの。えっと……?」
「おはよう」


明らかに動揺を隠せない私に、男性はもう一度あいさつをしてくれる。


「えっ……あの、誰、でしたっけ……?」
「まさか、覚えてないのか?」

「す、すみません」


「嘘だろ」と頭を抱えながら、男性は呆れた表情で私を見つめた。

私、どこまで覚えてる……?
おしゃれなバーでカクテルを飲んだことは覚えている。

バーの店員さんに、失恋したことをバラされたことも記憶にある。

でも、その後は?
カシスソーダのカクテルをプレゼントされて、カクテル言葉がなんとかかんとか……。
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