淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
真剣な眼差しを私に向ける岡林先生。

あぁ。どうしてこんなにもドキドキするんだろう?

〝もう二度と会うことはない〟
と思っていたクセに、会った瞬間から心臓がずっと落ち着かない。


「知花。連絡先、教えてくれる?」
「……はい」


コクリと小さく頷いて、私もメモ用紙に自分のメッセージアプリのIDを書くと、岡林先生に渡した。「ありがとう」と嬉しそうに笑った彼はメモを丁寧に財布にしまって、お店を出て行く。

岡林先生が帰ったのと入れ替えに、友香梨が勢いよく私の側へと近寄ってきた。


「ちょっと!! 知花、あのイケメンと知り合いなの!?」
「えっ!? いや、知り合いっていうか……」


どうしよう。
『1ヶ月前、一夜を過ごした相手です』なんて言えないしなぁ。

上手い言い訳が思い浮かばず口籠もっていると、再び友花梨が口を開いた。


「知花のこと、好きっぽいよね」
「……はっ!? なにそれ、そんなことあり得ないよ!!」

「どうして? 知花が花束を作っているとき、すごく優しい目で見つめてたじゃない」


……そうなの?
緊張していて、岡林先生の顔を見ることができなくて、彼がどんな表情だったのか知らなかった。

でも、彼が私を好き?
そんなことは、絶対ないと思う。
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