淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
ここで勤め始めたころは花の名前を覚えたり、ラッピングのやり方を覚えることでいっぱいいっぱいで、お客様を笑顔にするなんて夢のようだった。

でも、今ではその夢が現実となり、仕事にやりがいを感じている。


「さて……」


エプロンをロッカーに片付けて、バッグの中のスマホを確認すると、1通のメッセージを受信していた。

相手は、間違いなく岡林先生だ。


『仕事お疲れ様。終わったら、この前のバーに来て欲しいんだ』


ドクンと、心臓が跳ねる。
この前のバー……ということは、泊さんもいるということ。

ついさっきまで記憶も曖昧だった私が行っても大丈夫なのだろうか?


『お疲れ様です。今お店閉めました。すぐ向かいます』
『返信ありがとう。待ってる』


すぐ返信が届いて驚いたものの、待たせては申し訳ない。

バッグを持って裏口の鍵を閉めると、私はこの前のバーへと急いだ。



ーーカラン。
と、ドアのベルが軽快な音を出しながら揺れる。


「あ、いらっしゃい」
「ど、どうも……」

「今日は、奥の個室にいる」

「あ……ありがとう、ございます」


私に気が付いた泊さんが声を掛けてくれ、奥の半個室状態になっているテーブル席へと案内してくれた。

ドキドキしながらカーテンを開けると、岡林先生がすぐに顔をこちらに向ける。
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