淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
「知花」
「こ、こんばんは……」


岡林先生の顔がまともに見れず、俯きながら席に座った。

だって私、これからフラれるんでしょう?
って、別に付き合ってもないけど。

なにを言われるかもうわかっているからこそ、どうも居心地が悪いように感じてしまう。

俯いたまま黙っていると、岡林先生が口を開いた。


「知花。ずっと君を探してた」
「………」


どうして探していたの?

本当はそう聞きたい。
でも、それに対する返事が怖くて、なかなか言葉にできない。


「知花……俺、ずっと君のことが忘れられなかった」
「……え?」

「俺はあの一晩で、一途な君に惹かれたみたいだ」


そう言いながら、横の紙袋からなにかを取り出す彼。

中から出てきたのはーー


「えっ? 花束……?」


つい先ほど、私がラッピングしたバラの花束。

それを、どうして私に?


「1日中、知花を想っている」

「えっ……ちょ、待って。よくわからない……です」
「ごめん。そりゃそうだよな」


バツが悪そうに笑った彼は、もう一度姿勢を正す。


「知花が好きだ。結婚を前提に、俺の側にいて欲しい」


彼がそう言ったのと同時に、泊さんがカクテルを運んで来てくれる。

それにも驚きを隠せず、戸惑ってしまう。
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