淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~

どんなことがあってもーseid幸聖ー

知花が俺とのことを思い出してくれた日から1週間。
あの日から仕事が忙しくて、知花との時間がなかなか取れない。

合間に連絡をしても知花は仕事中で、知花が休憩中のとき、俺が仕事で……。すれ違うことの方が多いが、知花はなにも言わずに俺の仕事のことを理解してくれているようだった。

そんな様子なので、もう少ししたら俺のマンションへ引っ越さないかと、提案してみるつもりだ。

そして今日は、仕事がひと段落したら知花の勤めるフラワーショップを覗いてみようと思う。



「岡林先生、救急車対応出来ますか?」


陽が傾きつつある夕刻。脳外科病棟で入院患者の回診のしていると、息を切らした香坂師長が話しかけてくる。

どうやら、救急車の受け入れ要請の連絡が入ったようだ。


「78歳男性。歩行中、突然倒れたそうです」
「なにか症状は?」

「それが原因不明で。一緒にいた妻も、今朝は特に変わった様子はなかったと」

「わかった。受け入れ可能だ」


「承知しました」と、香坂師長はバタバタと病室から去って行く。

俺は回診を切り上げ長白衣を脱ぎ、紺色のスクラブ姿になると、香坂師長を追いかけるかのように救急外来へと向かった。

しばらくすると、サイレンと共に救急車が入ってくる。
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