淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
すぐに頭部MRI検査が行われ、検査の結果『アテローム血栓性脳梗塞』という、脳の中にある比較的太い血管が動脈硬化により詰まり、引き起こされる病気だった。

すぐに外科医と麻酔科医と連携を取って、CASーー狭窄部分を広げるステント留置術を施行した。

しばらく入院にはなるが、命に別条はなさそうだ。


「岡林先生お疲れ様でした。椎崎(しいざき)さんの奥様も、先生に感謝されていましたよ」


ナースステーションで先ほど搬送されてきた椎崎さんの入院計画書を入力していると、香坂師長が俺の側へとやって来る。


「それはよかった」


今回はたまたま病棟の空きがあり、受け入れ可能な状況だった。満床だと、断るケースもある。

俺は香坂師長の方を見ることもなく追加で検査オーダーも入力していくと、少し大袈裟に席を立ってその場から離れた。

時刻は19時前。
早くフラワーショップに行かなければ、お店が閉店時間になってしまう。

少し知花の顔を見てマンションまで送り届けたら、また病院に戻って来て仕事をする予定だ。

少し早足で病院を出ると、急いで車に乗って知花が働くフラワーショップへと向かう。

車を10分ほど走らせて駐車場に車を停めると、フラワーショップで閉店準備をしている知花の姿が見えた。
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