淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
そんな可愛い知花を見ていると、もう言わずにはいられない。


「知花、俺と一緒に住まないか?」


俺の一言に知花は驚きを隠せないようで、大きく目を見開く。

別に、なにかに焦っているわけではない。出会って間もないのに、と思われるかもしれない。

だけど、知花のことだけは手放したくない。

今まで女性に興味がなかった俺が、初めて〝手放したくない〟と思えた女性。

彼女には、なぜか惹かれてしまうんだ。


「知花? 嫌なら無理にとは……」
「違うんです」
「え?」

「岡林先生は……私で、いいんですか?」


なんだ。そんなことか。


「俺は知花がいい。どんなことがあっても、もう知花を手放したくないんだ」


知花のさらさらした黒髪を撫でながら、もう一度おでこにキスを落とす。

彼女の顔を見ると、瞳には涙を浮かべていた。


「……嬉しい。こんな私ですけど、よろしくお願いします」
「知花ありがとう」


そう言いながら、俺は知花のことを強く抱きしめた。


きっと、何度も何度も浮気を繰り返されて、辛い過去しかなかっただろう。でも、これからはその辛かった過去を俺がすべて上書きしてみせる。

横で気持ちよさそうに眠っている知花の寝顔にそっとキスをして、そう誓った。
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