淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
おしゃれなティーカップを目の前に置きながら、お母様が呆れたようにそう言った。

……嬉しい。
私、幸聖さんの〝初めて〟なんだ。

ここへ来るまでの間に『今まではどんな人と付き合ってきたのかな』とかごちゃごちゃ考えていたけれど、その思考は無駄だったようだ。


「突然電話が掛かってきたかと思ったら『会わせたい人がいる』って言うから、もう嬉しくって」

「知花さん。幸聖を、よろしく頼む」


そう言ったお父様は、深々と頭を下げた。


「い、いえ! 私の方こそ……よろしくお願いします」


慌てて頭を下げた私。

ダメだ。嬉しくて泣きそう。

『結婚もしていない男女が一緒に住むなんて許せん』とか言われるんじゃないかと、勝手に想像していたけれど、そんな心配はいらなかった。

ただのフラワーショップに勤める平凡な私を温かく迎え入れてくれて、嬉しさで胸がいっぱいだ。


「そうだお袋。俺たちから、渡したい物があって」


ふと、思い出したかのようにそう言った幸聖さん。

私は白い紙袋から花束を取り出すと、お母様の前に差し出す。


「あ、あの。お母様の還暦のお祝いにと。お写真と、彼にお聞きした雰囲気から、お母様をイメージして私が造りました」

「……知花さんが?」
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