淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
でも、状況が状況で、思わずドキッとしてしまった。
期待していた自分がいたこと、それも驚きだ。


「やるなぁ、岡林」

「なんでだよ。彼女は魅力的じゃないか。尽くしてきたんだろ? 彼氏に」
「……は、はい」

「そうじゃないと、こんなに傷ついたりしない」


まるで、心の中を見透かされているような気分になった。

本当に、彼の言う通りだったから。

悠稀のことが大好きで、いっぱい尽くしてきた。
それなのに、こんなにあっさりと裏切られてしまって、〝悲しい〟という言葉だけでは言い表せないくらいだ。

改心してくれることを期待して、2回の浮気も許してきた。

こんなに深く傷ついているのは、悠稀に本気で恋をしていたからなんだ……。


「それは俺からのプレゼント。まぁ、飲んで元気出して」
「あ……ありがとう、ございます」


なんだか申し訳ないと思いつつも、彼がせっかく私のために用意してくれたカクテル。しかも『あなたは魅力的』という、素敵なカクテル言葉が付いているカシスソーダを。

ドキドキしながらもカシスソーダを一口喉へと送ると、爽やかなカシスの風味が口いっぱいに広がった。


「わぁ……美味しい」
「やっと笑った。女性は、笑顔の方がいい」

「……はい」
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