無気力系幼馴染の溺愛ライフ
「りのん、迎えに来たよ。一緒に帰ろう。」

微笑みながらりのんの方を見ている奏だが、他の女子たちはそんな奏の微笑む姿に目を奪われていた。

「ほら、りのんちゃん早く行きなよ!」

「待って、私まだ準備終わってないぃ。」

急いで準備していると奏が教室の中へと入ってくる。

「りのん、まだ終わってなかったの?」

りのんは椅子に座ったままだったので奏は後ろから抱き着いてくる。

「そ、奏!人がいるところではやめてよ~…。それに準備しにくいんだけど…。」

「えー、いいでしょー。今日生徒会の仕事頑張ったし、ご褒美くれたっていいじゃんか。」

女子たちの黄色い視線から一転、鋭いまなざしがりのんを襲う。

うぅ…こうなるから嫌なのにぃ…。

「りのんちゃん、私は先に帰るね!奏先輩、りのんちゃんの事よろしくお願いします。」

ばいばい、と羽唯は邪魔しないよというかのように帰ってしまった。

「羽唯ちゃぁん…。」

半泣きでいると奏が頬をつんつんしてきた。

「さっきの子友達?」

「そうだよ、柊 羽唯ちゃんって子で、入学式始まる前に声かけてくれて仲良くなった子だよ。」

「ふーん。準備終わった?」

「うん、もう帰れるよ。」

「じゃぁ、帰ろうか。」

教室を出ようとすると駆け寄ってくる足音が聞こえた。
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