天河と七星
第一章 まさかの再会
『中條七星』

三十年近く使ってきた自分の名前を、受付の芳名帳に記帳する。

書き終えた字を見ていたら、ぐちゃぐちゃにして消してやりたい衝動に駆られた。

だってこの名字が嫌い。

呼ばれるたび、書くたび、そのたびに自分が中條の人間なのだと、呪われていく気がする。

そんな名前をこんなお祝いの場で書きたくなかった。

だけど私に名字が変わるようなライフイベントはない。

きっとこれからも。

だから私はこの名字を冠するしかなかった。

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