天河と七星
私は雑誌を胸に抱いたまま、部屋の明かりを消して窓の外を眺めた。

澄んだ夜の空気に星がまたたいている。
この窓からは遮るものが少なくて夜空がよく見えた。
七つの星がひしゃくの形をつくる北斗七星。一年中北の空に見えるが、春になろうとしている今は高度を上げて見つけやすい。

ーー今日も見守っていてくれてありがとう。
ねぇ、天河もあなたを眺めている?

私は目で星を追いながら、きらめく星に問いかける。

二人で望遠鏡をのぞいて、肩を寄せながらはしゃいだこともあった。
星が降る夜に永遠の愛を誓ったことも。

天河。夜空を見上げるたびにあなたを想う。時が経てば薄れると思っていたのに、あなたへの想いはどうしても消えない。

窓枠によりかかりながら、私はぼんやりと夜空をながめ、幸せだった思い出をたどり続けた。



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